被災地夕暮れ時のあかり

作品紹介文

「 被災地夕暮れ時のあかり 」

須田昌義

震災前の門脇町・南浜町地区は、約1,900世帯、4,500人が居住する住宅街でした。震災後、殆どの建物が大津波で全壊又は流失、残った建物も解体され、残った土地は荒れ地化している。夜間、この真っ暗なところを走行すると、震災後約一ヶ月後に建てられた「がんばろう!石巻」の看板を照らすあかりと、点滅する黄色信号のひかりのみで、車のヘッドライトだけが頼りです。その折、平成25年12月5日の夕方、その看板前で「1000日追悼の灯り」のイベントが開催され、約3200個の灯籠のあかりが灯されました。さらに、復旧した事業所の照明、海側の埋立て造成された広大な空き地に造られた仮設の災害廃棄物処理施設の照明、見たことのないこの時期だけのあかりが、闇夜の荒れ地を照らしていました。今後、この地区は、どのように変化していくのか、希望に満ちたあかりが灯るのはいつなのだろうかと想いを廻らす。