受賞者からのコメント
9度目の3.11は石巻市の日和山で迎えました。平日ではありましたが沢山の人達がこの地を訪れ2:46を待ちました。私は震災から9年目を迎え、3.11の存在が被災した方々の日常生活の中で、どのように変化してきたのかその変化に興味がありました。この場に居合わせた方々の会話を聞き、表情をみていると、眼下に広がる門脇地区を見下ろしながら当時の振り返る人、一人でまっすぐに海を見つめる人、久しぶりの再会に抱き合う人等様々でした。一様にその表情には悲壮感はなく、どちらかといえばポジティブで、静かに落ち着いた心のありようを感じました。それはこの9年という歳月の間に、それぞれがそれぞれの心の中で「3.11」という悲惨な体験に折り合いをつけてきたことを意味するのだと思いました。そして2:46を知らせるサイレンが鳴り響くと人々は海に向かって黙とうをささげました。それぞれが、それぞれの想いを胸に。
審査員からのコメント
宮原夢画 氏
祈りの力は人を惹きつけ時にハッと心に響かせるのがあります。大人数が同じ方向を向いてるこの写真からは、石巻の人たちの津波への思いが祈る姿として可視化できます。記憶を繋ぐことは、過去と未来をつないでいくこと。祈りの力を表現した素晴らしい写真です。
permanent宮原夢画賞
「それぞれの3.11」中井 洋平
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